生存確立は1/100
本との付き合い方もまた「あいまい」で「たゆたう」ものだという。出会いは運命的なインスピレーションによることが多く、別れ方もまた「その場」性が決定する不条理なものだった。
――創作活動に影響を与えた書籍は何かありますか?
【富田】
「僕は明確にどの小説、どの映画、どの音楽から創作活動に影響を受けましたって言えないんですよ。どんなつまらない本、つまらない音楽からでも微細に刺激を受けていると思っています。このデザインはつまらないと言うとき、"つまる"形態を漠然とでも持っているわけじゃないですか。何がつまらないかを自分で検証すれば、自分だったらどう"つまる"ものにしようかと考える。ひょっとしたらつまらないもの、つまらない小説なんかからの影響のほうが強いのかもしれない。何か特定の本というより、日々触れている全ての本から幅広く影響を受けている。オリジナリティというものがいかに難しいかっていう話しですよ。
ただ本に特定すると、自分が書物のどこに惚れるかは非常に明快です。ひとつは書かれた内容・コンテンツがおもしろいということ。その場合帯が道標になることが多いですね。中味もパラパラとは眺めますがそれは保険みたいなもので、帯が買うきっかけとなる。もうひとつは表紙や挿絵など、内容と全く関係なくビジュアルが好きということ。内容はくだらなくても、中のイラストが妙に印象に残ったり、表紙のビジュアルに一目ぼれして衝動買いすることも少なくない。ご想像通り失敗例も少なくない(笑)。
僕も妻もとにかく本を買ってきちゃう人で、1度は6畳の本専用の納屋を庭に建てたこともありますけど、すぐにいっぱいとなり引越しのさい全部売り払いました。最近の傾向としては3ヶ月に1度は本を整理することにしています。去年の暮れにはダンボールで120箱古本屋さんに持っていってもらった。残る本は100冊に1冊程度でしょうね。松岡さんとは正反対の付き合い方かもしれない。
もちろん全部読んでいるわけではないですよ。頭だけ読んで、はいさようならとなる本の方が多い。我慢して我慢して読んで、結局はガッカリっていう本もたくさんあるじゃないですか。同じ轍は2度と踏むものかと警戒して読書はしていますね」
――100冊に1冊残すという、その1冊の基準というのはなんですか?
【富田】
「はっきりしていますよ。整理しているときの自分の気分! それ以外にはないです。じっくり考えるのではなく、もう1度読むかどうかをその場のインスピレーションで決める。前回の整理で生き残った本も今回の審査に勝ち残れるとは限らない。基準はその場での僕の価値観なので。本にしたら可哀想ですよね。それで捨てちゃってから必要になって本屋に走っている(笑)」
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