セイゴオちゃんねる

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2016年7月22日

Publishing タングステンおじさんへ


『レナードの朝』『妻を帽子とまちがえた男』『音楽嗜好症』などの著書で知られ、昨年(2015年)82歳で亡くなった精神医学者のオリヴァー・サックス。セイゴオは「医療ものにありがちな説得じみたバイアスがなくおもしろい」と、かねてからオリヴァー・サックスの著作を楽しんでいましたが、なかでもっとも耽読してきたのが『タングステンおじさん』とのこと、「千夜千冊」1238夜に取り上げて、オリヴァー・サックスの少年時代の科学への「ときめき」を追想しています。

 その『タングステンおじさん』がこのたびハヤカワ・ノンフィクション文庫なり、セイゴオが帯文を寄せました。

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オリヴァー・サックス『タングステンおじさん』
ハヤカワ・ノンフィクション文庫(2016年7月15日刊)

――それにしても、タングステン叔父さんが本当に実在していただなんて、まったく羨ましいかぎりだ。ぼくにも是非ともいてほしかった。が、実はこういう"変なおじさん"は誰のそばにもきっといるはずなのだ。(略)本書の後半はみごとな「化学入門」にもなっている。これまたこんなふうに化学のイロハを躍動的に書いているものはめずらしい。とくにメンデレーエフの快挙の解説は出色だ。オリヴァー少年が青年となって量子力学にふれ、ついに昔日の「化学の箱庭」と別れを告げるところなど、ぼくには万感迫るものがあった。――千夜千冊第1238夜『タングステンおじさん』より

◆◆◆

 もうひとり、セイゴオがいまなお敬愛する免疫学者の多田富雄さん(2010年逝去)の多面的な思索や著作や活動を多面的に紹介する書籍『多田富雄のコスモロジー』が出版され(藤原書店)、『免疫の意味論』を取り上げた「千夜千冊」がそのまま収録されました。これは、多田富雄さんと、五木寛之さん・井上ひさしさん、白洲正子さん、中村桂子さん、柳澤桂子さん、石牟礼道子さんが、あたかも露伴の『連環記』のように漂巡回遊しているかのようにセイゴオが独自に組み立てたもの、まさに科学と詩学と能楽の融合をめざした多田さんのコスモロジーにふさわしい異色の一篇です。

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『多田富雄のコスモロジー』
藤原書店(2016年5月10日刊)

投稿者 staff : 2016年7月22日 17:19