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2007年09月10日
Diary 岡野弘彦さんの語りに酔う
台風9号の影響で荒れ狂う風雨のなか、赤坂ZEREビルに岡野弘彦さんが来訪。歌人として当代随一、また折口信夫に深く信頼を寄せられた弟子として、天皇家の和歌のご進講役としても知られる岡野さんは、セイゴオが以前から会いたがっていた憧れの人物。岡野さんと同郷であり元「伊勢人」編集者の堀口裕世さんのお引き合わせで、対談が実現しました。
宮内庁御用掛の退任にともなう挨拶まわりや、9月3日の超空忌を終えたばかりで、さぞお疲れではとのセイゴオの心配もなんのその、開口一番、「こんなにたくさんの本に囲まれて幸せです。ここは落ち着きますね」と本棚をすばやく見渡す岡野さん。83歳という御年すら感じさせない好奇心いっぱいの表情に、セイゴオはあっという間に包まれてしまったようでした。
「けれども私はずっと気分がおかしいのです。湾岸戦争のバグダッド攻撃のあの日から」。
先ごろ上梓した歌集「バグダッド燃ゆ」(現代短歌大賞受賞)をカバンから取り出しセイゴオに差し出しながら、岡野さんは「アメリカと闘って無念を体験した世代」としてその心境を語り始め、そこから神主の家に生まれ神宮皇學館で学ぶうちに古典文学と出会ったいきさつや、8ヶ月の兵役体験ののち、国学院大学生時代に折口信夫の内弟子となったことなど、半生を振り返りながらの滔滔とした話しが展開していきました。
近所の中華店に移動しての食事中も、時折古今の和歌をすらすらと諳んじながら、当時の情景や会話をつぶさに蘇らせる岡野さんの絶品の語り口は疲れ知らず。セイゴオもインタビュアー精神をおおいに発揮して、とりわけ折口信夫の読書や執筆や思索の方法や、柳田国男との交流関係には突っ込んだ質問を重ねていました。
4時間近くにわたった対談を終えて、傘も折れんばかりの強風のなか、いまなお折口の“荒魂”と“和魂”と同行二人の岡野さんを見送って、セイゴオは早くも再会の日が待ち遠しくなっているようでした。

投稿者 staff : 2007年09月10日 15:33
