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2006年10月23日

Report 七石舞台「かがみ」御披露目

音と言葉の共演が、石と鏡を結び寿いだ

 10月14日(土)、那須のリゾートホテル二期倶楽部で七石舞台「かがみ」の御披露目公演が開催された。七石舞台は、二期倶楽部敷地内を流れる清流「二會川」を見下ろす小高い丘陵に設置された、野外劇場である。四国の庵治から運ばれた巨大な7つの石と、それらをつなぐ鏡面ステンレスによってつくられた、前代未聞の文化装置である。

 石は、建築家の内藤廣さんとともにセイゴオが石彫家の和泉正敏さんを訪ね、その膨大な石のコレクションの中から選び抜いた。重さ30トンを超える巨石を分割しそれを鏡面スチールでつなぐアイデアは内藤さんから出されたもの。石という普遍的な時間の重さから、舞台空間を解き放つために考え抜いたと内藤さんは語っている。

 年間を通じて雨が多く、また冬は雪に閉ざされてしまう那須高原のきびしい環境のなかで、七石舞台の工事は難を極めた。ようやく七石舞台が完成したのが今年3月のこと、以降も「行道」(花道)や周辺設備の工事が休む間もなく続けられた。また照明家の藤本晴美さんと音響の金森祥之さんが加わり、あらゆるパフォーマンスを可能にするための最新装置が設置された。

 いよいよ10月13日、セイゴオはこけら落のパフォーマンスを演じるアーチストたちとともに、二期倶楽部に入った。七石舞台エリアを囲いこむ二重幔幕の取り付けが内藤事務所を中心に急ピッチで行われ、万が一の雨天対応用のテントや雨用具の準備までが進められるなか、初めて七石舞台を目の当たりにして興奮するアーチストたちとともに、セイゴオは宵闇とともにつのってくる寒さに耐えながら熱心にリハーサルを続けた。

 じつはこのときセイゴオは大きな問題をひとつ抱えていた。出演者の能楽師の安田登さんが師匠の舞台の代役をつとめなければならなくなり、第1部冒頭に予定している石開きのための謡曲次第が演じられなくなったのである。セイゴオは安田さんとも相談のうえ、急遽二期倶楽部のクラブハウスを借りて、安田さんに謡を録音してもらうことにした。その作業は深夜まで続いた。

 14日当日はあいにく曇天で明けたが、午前中からセイゴオと全出演者および照明の藤本さん、舞台監督をつとめる飯島高尚さんらが舞台に集い、入念な打ち合せとリハーサルを行った。二期倶楽部側でも、総支配人の中野さんの指揮のもと、来場者を迎えもてなすための室礼が着々と準備された。

 午後2時、石舞台の100席の観客席のキャパシティをはるかに超える170人もの来場者が詰めかけ、固唾を呑んで開演を待ち続ける。折りしも雲の隙間から青空が広がりはじめた。その青い空と木立の鮮やかな緑を映しこんで、七石舞台「かがみ」はますますその耀きを増していた。第1部オープニングパフォーマンス「挿頭」(かざし)が、いよいよ開演する――。

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左:リハーサル中の安田登さん
中:近藤等則さんとも入念な打ち合せ
右:前代未聞の七石舞台を前に、期待を募らせる観客

*写真はすべて戸澤裕司氏撮影(以下同)

七石舞台【かがみ】御披露目
第1部オープニングセレモニー「挿頭」(かざし)


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左:安田登さんの声だけによる開口次第が始まり、羽織りをかざしてセイゴオが登場
中:栗林祐輔さんの能管の調べが冴える
右:安田さんの不在を詫びつつ、石と鏡の舞台開きを告げる

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左:晴れやかな表情の北山ひとみさん、内藤廣さん、和泉正敏さんがご挨拶
中:木漏れ日のなかで、近藤等則さんの複雑妙技の電気トランペットが響きわたる
右:客席から登場した土取利行さんが、観客に二つずつ石を手渡していく

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左:観客もいっしょに石を打ち鳴らして、近藤さんのトランペットとセッション
中:南インドの古典楽器ガタムを軽快に打つ土取さん
右:第1部を終えてほっと一息、観客に手を振るセイゴオ

七石舞台【かがみ】御披露目
第2部オープニングパフォーマンス「際立」(きわだち)

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左:夕闇が迫るなか石舞台は藤本さんの照明によって昼間とは違う表情を見せる
中:鈴を鳴らし「梁塵秘抄」を歌いながら桃山晴衣さんが行道を進む
右:七石舞台にちなみ7つの三味線音楽を弾き分けて、宮薗節で締めくくる

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左:寒気を震わせて、土取利行さんのグラスサウンドの神妙な音が響く
中:シャーマニックなヴォイスパフォーマンスを繰り出す土取さん
右:近藤等則さんがコズミックサウンドを高らかに吹き鳴らす

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左:音と声と響きの共演を受けて、セイゴオがこのあと続く「夢十夜」について語る
中:音取を演奏しながら、客席うしろから登場する能管の栗林さん
右:安田登さんが揚幕から登場、道行の謡を謡いながら次第に物語に入っていく

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左:盲目の我が子を背負って闇を進む―石舞台が夏目漱石「夢十夜」の世界に転じる
中:100年前の人殺しの記憶が蘇るクライマックス
      「背中の子が急に石地蔵のように重くなった」
右:渾身のパフォーマンスを終えて汗びっしょりの安田さんを称えるセイゴオ

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左:安田さんが石舞台の四方を謡い清め、近藤さんと土取さんが即興で加わり大団円
中:すべての演目を終え、感慨を込めて一日を締めくくるセイゴオ
右:七石舞台の周囲には無数の青竹の松明が焚かれ、観客を見送った

投稿者 staff : 2006年10月23日 13:11

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