セイゴオちゃんねる

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2006年2月 1日

KeyWord 雪にしてしまいますえ

1月25日のセイゴオの誕生日には、雪がよく降る。生まれた年も京都は大雪だったと聞く。2006年は快晴だったがこんなことは珍しく、セイゴオには雪女の宿命があるとスタッフたちも信じているようなところがある。雪男なのではなく、雪女。

セイゴオが学生時代に作詞・作曲した『比叡おろし』という歌がある。六文銭が歌って知られたが、その後小林啓子や由紀さおり姉妹や都はるみが歌い、五木寛之や笑福亭鶴瓶の愛唱歌にもなっている。サビは「うちは比叡おろしですねん。あんさんの胸を雪にしてしまいますえ」。青年セイゴオのはかりしれなさが氷結している。

「比叡おろし」は冬の京都に吹き降ろす比良八荒のひとつ。その八荒にかけて行われたのが「連塾」だった。全八回、合計すると50時間以上にも及んだ日本文化語りは「比叡おろし」のように荒れてみたいというセイゴオの宣言から始まった。「連塾」は塾生の気迫もすさまじく、内田繁さんや中村吉右衛門さんや山口小夜子さんが、セイゴオの風気を一瞬も逃さない勢いで講義ノートを取り続けていた。2003年7月26日だから盛夏の只中のこと。

2年後の2005年6月11日、「連塾」は「雪が舞う鳥が舞うひとつはぐれて夢が舞う」というタイトルで締めくくられた。これは「連塾」の塾生でもあった森進一の『北の蛍』の一節で、セイゴオの愛唱歌、そしてこの歌もやはり「雪女」の宿命を思わせる。セイゴオは森進一の絶唱を、2年のあいだに5倍ほどに膨らんだ塾生たちに、秋吉敏子と川喜多半泥子とグレン・グールドの映像とともに、そして小室等の「比叡おろし」とともに聞かせた。こうして夏に始まり夏に終わった「連塾」を、厳寒の風と雪が貫いた。

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連塾第八講 時事通信ホール 撮影:中道淳氏 


いよいよ擱筆を迎えようとしている「千夜千冊」も、第一夜が中谷宇吉郎の『雪』。千夜達成は4年後の七夕の夜だったのだが、セイゴオは「良寛」を取り上げ、こんなことを書いていた。


とくに雪の降る日は良寛なのである。「淡雪の中にたちたる三千大千世界」がほしくなる。また「その中に沫雪」を、見たくなる。
憶えてくれている人などなかろうが、ぼくは『外は、良寛。』の最後を、こう書いたのだ。「ただただ良寛の淡雪が降っていたのです。気がつけば、外は良寛――、良寛だらけです」。

セイゴオには永久に夏が来ないらしい。いつだって比叡おろしが吹きすさび、そうでなければ、良寛の淡雪をしんしんと降りつのらせているらしい。

投稿者 staff : 2006年2月 1日 13:20