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 【12月7日】

 

 「彼」というのは、『旧約聖書』になじみ深いヨセフ、アラビア語ではユースフという。「われら」というのは、アッラーと天使である。
 選民たちはアッラーを忘れかけていたが、アッラーは11の星と太陽と月の夢を見せることで、ユースフを試練の人に選んだ。ユースフは兄弟の罠にはまって沙漠にすてられ、奴隷としてエジプトの商人に売られる。
 商人の奥方は、ユースフの美貌に魅惑されて誘いをかけ、ユースフは主人の寛大な待遇を思いかえすが、欲情に負けそうになる。そのとき、アッラーの証拠があらわれる。ユースフに見えたのは、天使ジブリール(ガブリエル)であった。
 奥方は、「奴隷に迫るなんて、あさましいこと」と噂する貴婦人たちを宴会に招き、ユースフに給仕させる。貴婦人たちは、その美貌に「これは人間ではない、まるで天使さまのよう」と驚きあきれるばかり。奥方は一同が納得したのを見て、「今度、誘いを断ったら、牢獄行きにするからね」と、ユースフに宣言する。
 そこで、ユースフは牢獄を選び、7年のあいだ獄中ですごして栄光をえた。『旧約聖書』と同工異曲であるが、奴隷に売られた先は牢獄司ではなく、奥方の思いは異教への誘惑ではないし、ユースフは裸で屋敷の中を逃げまわったりしない。
 スーフィーの秘教的解釈によれば、ユースフは魂を恍惚にみちびき、見る者の自己を忘却させる至高の神の美の象徴とされる。恍惚による忘我は、スーフィーが神の美の7階梯をめぐるあいだつづく。
 神的美としてのユースフは、花木が匂う楽園のような庭園のあずまやに、頭上に輝くオーラを発して座し、美の7階梯を象徴する7人の奴隷女をしたがえて、避けることのできない欲情から清澄な神韻にいたる意識の浄化の道を開示しつづける。




 

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