第四百二夜
チャールズ・ペレグリーノ『ダスト』
(1/10)
ノヴァーリスは「人は生涯に一度の聖書を書くために生まれてきている」と言ったものだが、ちょっと空想力に富んだキリスト教徒の作家なら、誰しもが聖書に書かれたような地球と人類の歴史を、近未来の物語として再現してみたいと思っている。
ジェフリー・アーチャーやシドニー・シェルダンたちは、そういうなかでも最もおっちょこちょいのほうである。
けれども、そのような近未来の聖書を本格的な科学小説に仕立てるのは、そんなに易しいものじゃない。なぜなら、紅海が割れるとか世界が洪水になるとか、言葉がバベルのような塔に閉じこめられるといった話を科学に置き換えるのでは、ろくなSFにもならないからだ。
本書はその無理難題に挑戦して、アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラーク、ロバート・フォワードに続く本格的な科学議論にもとづいたSFを、しかも聖書の構造に擬して仕上げてみせた。
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