ほくえんレポーター  栗崎妻
火と水と
20010年8月4日
新緑眩しい八十八夜、秋葉神社では、「手揉み献茶祭」が行われます。
新茶の摘み取り間近のこの時期は、茶農家にとって最も慌ただしく、最も気の抜けないときです。
しかし、どんな大変なときでも、皆の願いは同じ、今年も、19名もの手揉み保存会員がそろい、6台もの焙炉が整然と並びました。
丹精込めたお茶の芽が、持ち込まれます。
まずは白衣をまとい、神主さんのお祓いをうけます。
目を閉じ、頭を垂れ、身も心も清らかに。
そして、いよいよ、「秋葉の火」が、焙炉に灯りました。
赤く揺れる炎。
あんなに不安に悩まされていたというのに、それが、肝が据わるというか、身が引き締まるというか・・・。
これが神の力でしょうか、自分ではどうしようも無かった心の持ちようがすっと整えられ、手揉みに専念できるのです。

手揉みをする保存会会員たち


秋葉神社は、「火伏せの神」として、全国にその名を知れ渡らせています。
神紋の「楓」は、山の神「天狗」の葉団扇でもあり、天狗は、その葉団扇をあおいで水の神を呼ぶとも言われます。

北遠の清流、天竜川からあがる川霧が、ゆったりと山々にたなびきます。あたかも、水神が山神のもとへと向かうかのように。

火の神と水の神が、山の神に導かれ出会う場所。
それが「秋葉神社」そんなことを感じながら、一葉一葉、全身全霊を込めて揉みます。

手揉みの難しさは、やはり、火と水。
焙炉の火加減と、揉み出す新芽の水。
それをいかにうまくやってのけるか、私たちの手に委ねられるのです。
山の神に祈りながら、揉んでいきます。

今年の献茶祭も滞りなく行われ、最後に皆で一煎味わいました。
透けるような白金色。口に含むと、じわりと広がる渋み。
それが体中に染み渡り、疲れがすっと抜けていきます。
まさしく、命の水。これで、こらからやってくる怒濤の忙しさも乗り切れるというものです。

献上されるお茶


さて、季節はめぐり今は夏。
毎年7月の第四土曜日、秋葉神社では、「手筒花火奉納祭」が行われます。
華やかな火の粉が夜空に舞い散ります。
花火の音が山々に木霊し、腹の底にもずしりと響きます。
川面に映る姿もまた一興、全身で味わえる花火です。

使用した手筒はお守りとして玄関に飾られる


そして秋は、紅葉がすばらしく、これまた多くの参拝者が訪れます。
冬の「火祭り」(12月15、16日)は余りにも有名、そして、新年の初詣も。
年間300万人もの参拝者が訪れるそうです。

こんな「秋葉神社」は、浜松市街から2時間余りです。
参道脇の大杉に抱かれるように、長い階段を上ると、やっと本殿。
巨大なしめ縄が出迎えてくれます。
浜松を一望しながら、澄んだ空気で息を整えます。

秋葉神社本殿


自然に囲まれ、その折々の美しさを見せてくれる秋葉神社。
祭りの日を外して訪れ、その神々しさを独り占めするのも、いいものです。


参照URL http://www.akihasanhongu.jp/

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